お前の運命はすでにオレに握られた
それを成す うちはもう一つの禁術・・・それが――――
イザナミだ
お前の運命を握っているのはオレだ
だがお前の運命を決めるのはおまえ自身だ
オレが言ったことを思い出せ・・・
そして考えろ
己を許し本当の自分を認める者・・・
それこそが本当の強者だ!!
イザナミだ
言ったハズだ・・・お前の運命はオレが握っていると
ヤツはこの輪廻(ループ)から逃れることはできない
運命を決める術・・・
これがイザナミだ
このまま少し輪廻(ループ)に掛けて本来の視覚による幻術に掛けやすくする
カブトが最初にオレをその刀で突き刺した時だ
イザナミは自分と相手・・・
二人の体の感覚によってハメる瞳術だ
行動の中の任意の一瞬・・・
その一瞬の己と相手の体の感覚を一度瞳力で写真のように記憶する
仮にそれをAとする
そして同じ体の感覚をわざともう一度再現し
その一瞬を同じように瞳力で写真のように記憶しA’(エーダッシュ)を作る
イザナミはそのAとA’を重ね 繋げることにより
それまで二つの間の時の流れまで繋げてしまう
つまり無限ループを作る能力だ
もちろん失明することと引き換えにする
イザナギと同じにな
イヤ・・・この術にはそのループから抜け出る道がちゃんと用意されている
そもそもイザナミはイザナギの術者を戒め救う為に作られた術だからな
イザナギはお前も少しは知っているようだが・・・
アレは運命を変える うちはの完璧な瞳術だと言われていたそうだ
己の結果にうまくいかない事があれば
その結果を掻き消し元に戻れる
言わば都合のいい結果だけを選び取っていける仕組みだ
大きな戦いにおいて うちは一族が決して失敗できぬ時
イザナギが大きく貢献する術となった
が しかし・・・結果を己の思うがままに変えられる術には失明以上の大きなリスクがあった
その強すぎる瞳力は術者を傲(おご)らせ
個を暴走させる要因となってしまったらしい
イザナギを使う者が一人なら問題はない
だが それが二人以上になると
うちは一族内で都合のいい結果の奪い合いが始まった
それを止める為に作られたのがイザナミだ
視覚相手に視覚では幻術にハメられないからな
イザナミはイザナギで己の結果を都合のいいように変えようとすると
一生同じ所をグルグルとループする仕組みだ
だがイザナミはイザナギを止める為の瞳術・・・
ちゃんとそのループから抜け出る道も作られていた
これは本来 うちはの仲間を傲(おご)りと怠慢から救う為の術だった
術で簡単に結果から逃げる者を止める為の術
本来の己の結果を受け入れ 逃げなくなった時
おのずとイザナミのループは解ける
術に頼ることなく・・・運命を自分で受け入れるよう導く術
抜け道のある術など実戦では危なくて使えない
そういう意味でイザナミは禁術となっている
だからカブトが自分以外の誰かに成り換わることをやめれば・・・
ループから出ることは出来る
・・・こいつは昔のオレに似ていた
全てを手に入れたつもりで何でも成せると妄信しようとする
だからこそ己の失敗に怯え 己に失敗は無いのだと自分に嘘をつく
結果それをごまかす方法として他人の力を信用しなくなったのがオレだ
カブトの場合はそれをごまかす方法として
他人の力をも自分の力だと思い込んだ
こいつのことも分かるんだ・・・
この忍の世に翻弄された者同士
どうしても自分自身を許し認めることができないことも・・・
確かにこいつのやっていることは間違っている
だが・・・こいつだけを責めるのも間違いだ
カブトにはオレと違い死ぬ前に気付いてほしい・・・
サスケ
・・・オレはお前に別天神(ことあまつかみ)という瞳術まで使いお前を操る形で導こうとした
誰よりもお前を子供あつかいし
守るべき対象としてしか見ず
お前の力を信用していなかった
・・・・・・・・・
何であれ一つとして一つで完璧なんてものは無いのかもしれない
だからこそ補うモノが引き寄せられるように生まれ・・・
側で対を成して初めて少しでも良い方向へ近づけるのだと思う
イザナギと・・・イザナミの術のように
オレを見てオレになかったものをお前には探してほしい
だから・・・オレを完璧だったなんて言ってくれるな
まずは・・・ありのままの自分を自分自身が認めてやることだった
そうしさえすれば誰にも嘘をつくことはなかった
お前にもオレ自身にも
嘘に信頼は無く背中を預ける仲間はできん
そして・・・嘘は本当の自分すら見えなくさせる
これより穢土転生の術を止める